2021.04.15 時点の投稿

融資型クラウドファンディングとは

  • Bankers' wiki

融資型クラウドファンディングとは、クラウドファンディング(Crowd Funding)、すなわち、不特定多数の群衆(crowd)から資金を募る(funding)仕組みの一類型であり、集めた資金を用いて融資が行われ、資金の出し手は融資先から返済を受けた元本の償還を受け、また、融資先から支払われた利息の中から利益の分配を受けるといった仕組みの金融商品である。


このため、資金の出し手は金融商品取引法上の投資者となる。


また、一般的には銀行への預貯金との比較では高い利回りが期待され、株式投資と異なり比較的少額での投資が可能であり、株式相場の変動の影響を受けにくいといったメリットが期待される一方、出資した元本は保証されず、出資した資金を元手に融資が行われる以上、途中での解約ができないといったデメリットがある。

法律

契約形態

日本国内では、不特定多数から資金を調達して一定の事業を行う方法として、民法上の任意組合、有限責任組合、投資事業有限責任組合、商法上の匿名組合といった法的構成が用意されているものの、融資型クラウドファンディングでは一般的に商法上の匿名組合(商法第535条)の方法がとられている。(不特定多数から資金を調達して一定の事業を行い、生じた収益を分配することを事業ファンドと呼ぶこともある。)


匿名組合では、事業者(匿名組合の営業者)と投資者(匿名組合員)の間で契約が締結され、融資型クラウドファンディングでは事業者の行う融資事業のために投資者から資金が出資され、融資事業から生じた収益を分配することを内容とすることになる。

融資型クラウドファンディング事業に関する資格

匿名組合契約に基づき、出資対象事業によって生じた収益の分配を受けることができる権利は金融商品取引法の規制対象である「集団投資スキーム持分」にあたる(金融商品取引法第2条第2項第5号)。このため、融資型クラウドファンディングでは、募集・募集の取扱いにあたり第二種金融商品取引業の登録が必要となる。

なお、資金調達を匿名組合の営業者自身が行う場合には「募集」、匿名組合の営業者ではない第三者が、匿名組合の営業者のために資金調達を代行する場合には「募集の取扱い」となる。


また、融資型クラウドファンディングの事業者は、匿名組合契約に基づき出資を受けた資金をもって「金銭の貸付け」を行なっている。このため、貸金業法第2条第1項にいう「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うもの」として「貸金業」を行うことになり、貸金業者としての登録が必要となる(貸金業法第3条第1項)。

融資先の匿名化・複数化

従来、融資型クラウドファンディングでは、匿名組合を用いた融資事業について、「特定の借り手への貸付に必要な資金を供給し、貸付の実行判断を行なっている場合には、貸付行為を行っているものと評価(貸金業登録が必要)するが、……借り手を特定することができる情報が明示されていないこと(匿名化)、複数の借り手に対して資金を供給するスキームであること(複数化)」が要請されていた。


これに対し、平成31年3月18日付で公表された「金融庁における法令適用事前確認手続(回答書)」により、事業スキーム、ファンド事業者(貸付事業者)、ファンド販売業者についてそれぞれ一定の要件を満たす場合であれば融資先の匿名化・複数化は不要とされることとなった(なお、これらの一定の要件を満たさない場合には依然として融資先の匿名化・複数化は必要とされている。)。

投資者の地位

匿名組合契約による場合、匿名組合出資財産(いわゆる投資者から出資された金銭)は匿名組合の営業者(融資型クラウドファンディングでは貸金業者)の財産となる。


このため、投資者に帰属するのは融資債権(の一部)ではなく、あくまで融資型クラウドファンディング事業によって利益が出た場合にその利益の配当を請求することができる権利と融資債権が返済された場合に出資した資金の償還を受けることができる権利に留まる。

また、投資者は、匿名組合の営業者に対し業務監視権限を有しており、匿名組合(ファンド)の貸借対照表の開示を求めたり、財産状況の検査を行なったりすることができる。

他方で、投資者は匿名組合の営業者の事業や、事業に関連する第三者に対し、権利や義務を有しないため、投資者は融資先から直接に債権回収を行う権利や、融資先に対して直接のモニタリング等を実施する権利等はない。

なお、国内の融資型クラウドファンディングは、第二種金融商品取引業協会が定める「事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則」に定める態勢または同規則に定めるのと同程度の態勢を整備する必要があり、その中で、決算期毎に財務状況や分配金・償還金の有無・金額等を記載したファンド報告書が交付されることになっている。

会計・税務上の取扱い

匿名組合契約に基づく融資債権であっても会計上は事業者の資産に計上されることになる。また、事業者の受けた匿名組合出資は、事業者の負債に計上されることになる。
これに対して、投資者は、会計上、資産として匿名組合出資を持つにすぎない。


また、融資型クラウドファンディングの収益は、投資者が個人である場合には雑所得として総合課税され、雑所得の合計額が20万円以下の場合等を除いて原則として確定申告が必要となっている。

また、融資型クラウドファンディングの収益は、所得税および復興特別所得税の合計20.42%が源泉徴収されており(株式投資や投資信託の譲渡所得に比べて高い税率となっている。)、確定申告によって還付を受けられる場合もある。

【BankersNote編集部】

 

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