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2021.06.22

契約締結前交付書面

  • Bankers' wiki

契約締結前交付書面とは、金融商品取引法第37条の3により金融商品取引業者が、金融商品取引契約を締結しようとするときに、契約の締結に先立ってお客さまに対し、取引内容、手数料、リスク等の重要事項を記載して交付することが義務付けられている書面をいう。


あらかじめお客さまの承諾を得たうえで、契約締結前交付書面に記載すべき内容を金融商品取引業者がそのWebサイト上にPDFなどのファイルとして用意するなどして電子情報として提供することも認められている(金融商品取引法37条の3第2項・34条の2第4項)。

記載事項

契約締結前交付書面の記載事項は、金融商品取引契約一般に関する共通記載事項と、金融商品取引契約の内容に応じた記載事項に分けられる。

共通記載事項

金融商品取引一般に共通する事項として、商号等・住所、登録番号等、契約概要、手数料等、元本損失・元本超過損が生ずるおそれがある旨の記載が法律により求められている(金融商品取引法37条の3第1項1号〜6号)。

これらの他、金融商品取引業等に関する内閣府令では、契約締結前交付書面の内容を十分に読むべき旨、委託証拠金等の額・計算方法、元本損失・元本超過損が生ずるおそれがある場合における原因となる指標等・理由、租税の概要、契約終了事由の内容、クーリング・オフ規定の適用の有無・内容、金融商品取引業者の業務概要、顧客が業者に連絡する方法、加入している金融商品取引業協会の名称、対象事業者となっている認定投資者保護団体の名称も金融商品取引一般に共通する事項として記載が求められている(金融商品取引業等に関する内閣府令82条)。

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)における記載事項

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)における契約は、金融商品取引法2条2項5号・6号にいう出資対象事業から生ずる収益の配当を受けることができる権利(=出資対象事業持分)である。このため、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の契約締結前交付書面においては、共通記載事項の他、出資対象事業持分取引に関する事項や出資対象事業の運営に関する事項、出資対象事業持分の経理に関する事項等の記載も必要とされている(金融商品取引業等に関する内閣府令87条)。

さらに、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)における契約では出資を受けた資金が主に融資事業に充てられることになるため、事業に充てる資金の管理方法、出資を受けた資金を固有財産と分別して管理していることの実施状況・金融商品取引業者等が管理の実施状況の確認を行った方法、資金の流れに関する事項、外部監査の有無等の記載も必要とされている(金融商品取引業等に関する内閣府令92条の2)。

交付義務と規制

金融商品取引業者が金融商品取引契約を締結しようとするときには、原則として、あらかじめ顧客に対し契約締結前交付書面を交付することが法律上義務付けられている(金融商品取引法37条の3第1項)。


また、契約締結前交付書面の交付に関し、あらかじめ、顧客に対して契約締結前交付書面の記載事項(商号等・住所、登録番号等を除く)について顧客の知識、経験、財産の状況および金融商品取引を締結する目的に照らしてその顧客に理解されるために必要な方法・程度による説明をすることなく金融商品取引契約を締結する行為は禁止行為とされている(金融商品取引法38条9号・金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項1号イ)。

契約締結前交付書面の交付にかかる法令改正

2020年8月に金融庁から公開された「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書-顧客本位の業務運営の進展に向けて-」では、「重要情報シート」(金融商品を比較しやすくするため、顧客に簡潔にわかりやすく商品のリスクや手数料等の情報を提供する資料をいう。)等を使用し、かつ、契約締結前交付書面の主な内容を顧客に説明した場合、契約締結前交付書面の交付を不要とすることが適当と提言されている。

この提言を踏まえ、2021年2月15日の金融商品取引業等に関する内閣府令の改正により、簡潔な重要情報提供等を行い、かつ、契約締結前交付書面に記載すべき事項を顧客属性に応じて説明した場合、契約締結前交付書面の交付免除を可能となった。この場合であっても、契約締結前交付書面に記載すべき事項を電子的に顧客の閲覧に供する必要がある。

このため、今後、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)においても、重要情報シートの活用などにより、契約締結前交付書面の交付や重要情報の提供等のあり方が従来のものから変遷する可能性がある。

【BankersNote編集部】