2026.04.15 時点の投稿

不動産クラウドファンディングと貸付型クラウドファンディングの法規制・歴史・最新動向を整理

  • ファンド・コラム

不動産クラウドファンディングと貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)は、どちらもインターネットで出資を集める仕組みですが、適用される法律も、投資前に確認すべき情報も同じではありません。この記事では、両者の法規制、歴史、そして直近の動きを整理します。

まず両者の違いをシンプルに整理したい方は、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングって、結局何が違うの?から読むと理解しやすくなります。

不動産クラウドファンディングの法規制はどうなっているか

不動産クラウドファンディングの中心にあるのは、不動産特定共同事業法です。出資を募って不動産を売買・賃貸し、その収益を投資家に分配する事業について、許可や登録のルールを設け、投資家保護を図る制度です。

大きな転機になったのが2017年の法改正です。この改正で、電子取引業務の環境が整備され、オンライン完結型の不動産クラウドファンディングが広がりやすくなりました。

不動産特定共同事業の利活用促進ハンドブック | 国土交通省

貸付型クラウドファンディングの法規制はどうなっているか

貸付型クラウドファンディングは、投資家から集めた資金を企業などに貸し付け、その返済金や利息を原資に分配する仕組みです。制度面では、募集を行う者に第二種金融商品取引業の登録が必要です。金融庁は、無登録業者に関わらないよう注意喚起しています。

ソーシャルレンディング~高い利回りの情報だけで投資をしていませんか?~ | 金融庁

日本における不動産クラウドファンディングの歴史

不動産特定共同事業法は1994年に制定されました。その後、2013年法改正で倒産隔離型スキームである特例事業が導入され、2017年法改正で小規模不動産特定共同事業、適格特例投資家限定事業、電子取引業務が整備されました。現在の不動産クラウドファンディング市場を考えるうえで、とくに重要なのは2017年改正です。ここで、インターネット上での募集・契約に対応する制度基盤が整えられました。

こうした制度整備を背景に、不動産クラウドファンディングは一般投資家にも広がってきました。国土交通省の資料では、一般投資家の参加者数は2019年の3.4万人から2023年には29.7万人へ増加し、インターネット上の契約を通じた参加割合も21.4%から67.2%へ上昇しています。市場拡大が進んだ分、今は「数が増えたこと」だけでなく、「その拡大に見合う説明ができているか」が重要なテーマになっています。

日本における貸付型クラウドファンディングの歴史

日本貸金業協会の2025年レポートでは、貸付型クラウドファンディングの歴史を3つの時期に分けて整理しています。第1期の黎明期(2005~2012年)は、日本でもサービスが立ち上がった時期です。第2期の成長過渡期(2013~2016年)は、法整備の流れのなかで参入事業者が増えた時期です。第3期の衰退・再成長期(2017~2025年)は、大手事業者の不祥事で信頼が揺らいだ後、制度整備と信頼回復が課題になっている時期とされています。

この歴史を見ると、貸付型クラウドファンディングは「どこまで透明に説明されるか」が市場の信頼を左右してきたことがわかります。

貸付型クラウドファンディングの変遷と展望 | 日本貸金業協会

不動産クラウドファンディングの最新動向

国土交通省の検討会で、一般投資家向けルールの見直しが議論されている

不動産クラウドファンディングを含む不動産特定共同事業では、一般投資家の参加拡大を受け、制度の見直しが進められています。国土交通省は2025年3月に検討会を設置し、同年8月1日に中間整理を公表しました。中間整理では、一般投資家向けの情報開示の充実、利害関係人への売却価格の公正性確保、行政監督の充実、業界団体と連携した自主ルールの検討が、今後の方向性として示されています。

契約前の開示項目としては、想定利回りの根拠、対象不動産の価格の妥当性、不動産鑑定評価を取得していない場合の理由、利害関係人取引における取引価格の妥当性、出資金の使途、さらに開発や改修を伴う案件の内容などが挙げられています。

運用期間中については、出資金の使途実績や、開発等を伴う案件の進捗状況について、財産管理報告書で説明事項を追加する方向が示されました。さらに、償還時に対象不動産を利害関係人へ売却する場合には、原則として、不動産鑑定評価額に即した価格で売却することが求められています。

一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理 | 国土交通省

一般社団法人不動産クラウドファンディング協会の最新動向

一般社団法人不動産クラウドファンディング協会は、国土交通省の検討会にオブザーバーとして参画し、投資家保護や情報開示のあり方に関する議論に関与しています。2025年8月の発表では、国土交通省の中間整理を受けて、関係当局や一般社団法人不動産特定共同事業者協議会と連携しながら、自主規制ルール整備に向けた新たな検討会の準備を進めるとしています。

自主規制ルール制定に向けた取組について | 一般社団法人不動産クラウドファンディング協会

直近では、2026年2月の一部事業者への行政処分を受けて、資産の分別管理、資金使途、開示の適切性といった基本事項の徹底を改めて強調しました。市場拡大と並行して、開示とガバナンスの底上げが重要なテーマになっています。

一部事業者に対する行政処分に関する当協会の見解と今後の取り組みについて | 一般社団法人不動産クラウドファンディング協会

貸付型クラウドファンディングの最新動向

貸付型クラウドファンディングでは、足元で大きな制度新設があるというより、信頼性回復と情報開示の充実が継続的なテーマになっています。

金融庁はかねてより、高い利回りなど限られた情報だけで投資判断をしないこと、貸付先や担保、回収可能性、契約条件、リスク、手数料などを確認することを求めています。

ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください | 金融庁

日本貸金業協会のレポートでも、2017年以降は不祥事による信頼低下を経て、再構築の途上にあると整理されています。

貸付型クラウドファンディングの変遷と展望 | 日本貸金業協会

まとめ

不動産クラウドファンディングと貸付型クラウドファンディングは、同じクラウドファンディングでも、制度の軸は大きく異なります。不動産クラウドファンディングでは、不動産特定共同事業法のもとで、契約前書面、運用中の情報提供、利害関係人への売却価格の公正性まで含めた見直しが進んでいます。貸付型クラウドファンディングでは、金融庁が高利回りだけで判断せず、貸付先・担保・回収方針・契約条件まで確認することを求めています。どちらも、募集画面ページだけで判断せず、交付される書面などまで入念に確認することが大切です。

制度面の違いを踏まえて、実際に投資家が何を確認すべきかを整理したい場合は、仕組み・リスク・見るべきポイントを比較した記事もあわせて確認してみてください。

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