2026.05.26 時点の投稿

「顔の見える化」で社会の選び方を変えるソーシャル・アップデート・カンパニー――株式会社UPDATER 会社紹介

  • ファンド・コラム

 

株式会社UPDATERは、独自のブロックチェーン技術を基盤に、再生可能エネルギーをはじめとするサステナビリティ領域の事業を展開する「ソーシャル・アップデート・カンパニー」です。2011年に「みんな電力」として創業し、2021年に現社名へ変更。電力小売を起点としながら、いまでは法人向けGX(グリーン・トランスフォーメーション)・SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)、海外での電力供給まで、領域を横断して事業を展開しています。

事業の根本にあるのは、「顔の見える化」という発想です。電気がどこでつくられ、誰が関わり、どんな思いで生まれているのか。多くの企業が「再エネ100%」を掲げる時代になりましたが、その電源を発電所単位までさかのぼれる事業者はまだ多くありません。UPDATERは、2018年から独自のブロックチェーン技術によって、法人が「どの発電所から、どの量を、どの期間で」電力を調達するかを指定できる仕組みを世界で初めて商用に展開しました。再エネというラベルではなく、「どの再エネか」まで指定して調達できる。そこに、他の再エネ事業者との明確な違いがあります。現在世界では、ようやく調達先を明らかにした電源のあり方が薦められるようになりました。UPDATERはその理想的なモデルケースとして、2025年に国連が主導する「24/7 Carbon-Free Energy Compact」の年次報告書で日本発の事例として紹介されました。

 

▲「24/7 Carbon-Free Energy Compact(24/7 CFE Compact)」の年次報告書の一部

 

市場の追い風と、先行する事業基盤

UPDATERが事業を展開する再生可能エネルギー由来の電力小売市場は、企業の脱炭素対応とESG経営の浸透を背景に、急速な拡大局面にあります。とりわけ、大口需要を抱える高圧・特別高圧領域では、2040年度の市場規模が2023年度比でおよそ7倍に成長する見通しです。RE100やSBT(科学的根拠に基づく削減目標)に準拠する企業が増え、Scope1・2の温室効果ガス削減や実質ゼロを掲げる企業が年々増加するなかで、再エネ調達の需要は質・量ともに拡大しています。

 

▲UPDATERの受ける認証・認定等

 

UPDATERは、この市場で先行する事業基盤を築いてきました。電力小売事業「みんな電力」を主力サービスとして、全国約1,100ヵ所の多様な再エネ発電所(太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱)と特定卸契約を結び、約1,200社の法人に電力を供給しています。さらに、2018年からブロックチェーンを活用した電力トラッキング技術の商用化を先行的に進めており、再エネ調達の証明精度がより厳しく問われるこれからの時代に向けて、競争力の源泉となる技術基盤をすでに保有しています。

 

▲UPDATERのが電力を提供する企業の例

 

近年、企業の脱炭素経営を支える調達手段として、需要家と発電事業者が10〜25年の長期契約を結ぶコーポレートPPAの採用が国内外で急速に進んでいます。UPDATERは、発電事業者との強固なネットワークとブロックチェーン技術を活かし、PPAの調達支援から需給管理、環境価値証書の発行まで一貫したサービスを提供。世界で導入が急がれる、1時間単位で消費電力と供給電力を一致させる電気の在り方である「24/7 Carbon-Free Energy」に先行して対応しています。年間合計の再エネ比率にとどまらない、次世代の脱炭素標準を先取りしています。

 

思想と収益性を両立させる事業設計

UPDATERの特徴は、社会課題解決と事業成長を切り離さない設計にあります。

サステナビリティ領域では、「社会にとって意味のある事業ほど採算が合わない」という構造的な課題が長く指摘されてきました。社会や環境に配慮した持続可能な事業を行う企業に与えられる国際的な民間認証制度であるB-CORP認証を取得した海外企業のなかにも、収益化できずに社会貢献活動を断念し、利益優先へ転換した事例があります。UPDATERは、この問題を「価値の見える化」によって解こうとしています。「どの背景でつくられたか」が見える商品・サービスは、安さで競争する商品とは異なる選好で選ばれるため、利益率の高いサービスとして成立しうる。同社は売上総利益率を主要な経営指標の一つに据え、思想と収益性を同じ方向で伸ばす事業設計を採っています。

直近期(2025年3月期)の連結売上高は約293億円。経常損益・当期純損益はそれぞれ黒字を計上しており、収益基盤の確立フェーズに入っています。連結財務諸表はPwC Japan有限責任監査法人による監査を受けており、社外に対する説明責任の体制も整っています。

事業構造としては、再エネ電力小売を中核とする「気候テック事業」と、サステナビリティの実装支援を担う「SX事業」の2軸で展開しています。SX事業の中核プラットフォーム「みんなSX for Biz」には、約4,000の法人会員が参加し、脱炭素、生物多様性、人的資本、ウェルビーイングなど、企業が直面するサステナビリティ課題に対し、診断ツール提供から実行支援まで一貫したサービスを提供しています。電力という入り口から、企業のサステナビリティ実装全体へと事業領域が広がっていく構造が、UPDATERの収益の二段ロケットになっています。

 

▲みんなSX for Bizによるイベント「UPDATERs DAY 2026」様子

 

海外展開 ― タンザニアでの電力供給事業「Pole Solar」

UPDATERは、再エネ事業を海外にも展開しています。なかでもタンザニアでは、「Pole Solar(ポレソーラー)」と名付けた電力供給事業を、すでに収益化フェーズで進めています。

タンザニアでは、未電化や停電による経済損失が深刻な課題となっています。一方で、日照時間と日射量は日本を大きく上回り、太陽光発電のポテンシャルが極めて高い地域です。UPDATERは、電力の不安定化によって経済的損失を被っている現地企業に対して、敷地内に太陽光発電設備を設置し、そこで生まれた電力を直接供給する「オンサイトPPA」モデルで事業を展開しています。長期契約に基づく安定した供給と収益が見込めるモデルであり、現地企業にとってはコスト削減と事業継続性の両面で明確な便益があります。

特徴的なのは、「ユーズド・イン・ジャパン」と呼ぶ独自の循環モデルです。国内で役目を終えた太陽光パネルを再価値化してタンザニアへ届けることで、日本国内のパネル廃棄問題と、グローバルサウス地域の電力不足という二つの課題を同時に解こうとしています。さらに、初期費用を不要とするオンサイトPPA型を採用することで、現地企業が無理なく再エネにアクセスできる仕組みを設計しました。この取り組みは、2025年に東京都の「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」に採択されています。

 

▲「Pole Solar(ポレソーラー)」事業の利用者の様子

 

タンザニア事業は、UPDATERの「顔の見える化」という思想が国境を越え、しかも経済合理性をともなって通用する事業設計であることを示しています。電力アクセスの整備が経済発展の前提条件となるグローバルサウス地域は、再エネ事業者にとっての大きなフロンティアであり、中長期の成長余地という観点でも、注目されるべき事業領域です。

 

自然との共生を事業設計に組み込む

再エネの普及が進む一方で、その開発が地域の自然環境や生態系を損なう懸念も指摘されるようになりました。UPDATERは、再エネを「どう増やすか」だけでなく「どうつくるか」が問われる時代に入ったととらえ、2025年9月に「共生する再エネプロジェクト10」を始動しました。2028年度までに、自然・地域と共生した発電所を全国で10か所創生する取り組みです。

 

第1号事例となったのは、兵庫県豊岡市の営農型太陽光発電を含む地域。2025年9月、日本で初めて「自然共生サイト」に認定されました。発電所が地域環境と共生し得るという可能性が、国の制度として初めて認められた事例です。2026年2月には、公益財団法人 日本自然保護協会(NACS-J)とパートナーシップ協定を締結し、再生可能エネルギーの拡大と生物多様性の保全を両立する「ネイチャーポジティブな再エネ」のあり方を共同で検討しています。

 

▲日本自然保護協会と協働する「ハガハガネイチャー発電所」の様子

 

これは、UPDATERにとってCSR的な社会貢献活動ではありません。再エネ事業の競争優位を支える事業戦略の一部です。価格競争に巻き込まれる「普通の再エネ」ではなく、「自然と共生した、ストーリーのある再エネ」を選びたい企業・生活者は確実に増えています。同社はその市場を自社の事業基盤として育てています。

 

外部評価と取引実績

UPDATERの事業は、外部の基準にさらされながら積み上げられてきました。

2025年には、TBSホールディングスと合弁会社「株式会社TBS Green Transformation(TBS GX)」を共同設立。耕作放棄地を活用した営農型太陽光発電所を建設し、創出した電力にブロックチェーンでトレーサビリティを付与してTBSグループに供給する、先進的なモデルを展開しています。2026年2月には、三菱UFJ銀行の「脱炭素推進支援ローン」を締結。脱炭素に向けた取り組み、体制、将来方針、エネルギーの透明性・トレーサビリティを支える技術までを含めて評価された結果です。2025年には、エナジープロバイダーとして、アジア・オセアニア地域で初となるB Corp認証も取得しました。

 

中長期の方向性

世界各国でカーボンニュートラル目標が掲げられ、日本でも企業の脱炭素開示要請は強まる一方です。再エネ調達、生物多様性、人的資本、製品トレーサビリティ(DPP=デジタルプロダクトパスポート)といったサステナビリティ領域は、企業にとって「いつかやるテーマ」から「いま実装するテーマ」へと位置づけが変わってきました。

UPDATERは、こうした市場の追い風のなかで、再エネ調達の高度化、自然・地域と共生する発電所開発、海外での電力供給拡大、生活者向けの「顔の見えるライフスタイル」サービスの拡張、そして製品トレーサビリティといった次世代テーマへの展開を、並行して進めています。

同社が目指すのは、一部の意識の高い人だけが「いい選択」をする社会ではありません。ふつうに暮らしていれば自然と「よりいい選択」ができている社会です。社会を説得するのではなく、社会のほうが自然に動いていく状態をつくる。それが、UPDATERが掲げる「社会のアップデート」の意味です。

 

会社概要

商号 株式会社UPDATER
設立 2011年
本社所在地 東京都世田谷区三軒茶屋2丁目11-22 サンタワーズビル8F
代表取締役 大石 英司
資本金 1億5,382万円
従業員数 127名(派遣除く) ※2026年4月1日現在
事業内容 再生可能エネルギー小売、法人向けGX/SXプラットフォーム運営、再エネ発電所の開発・アセットマネジメント、海外電力供給事業 ほか
URL https://www.updater.co.jp/

 

代表者プロフィール

大石 英司(おおいし・えいじ)

社会実業家。株式会社UPDATER代表取締役。TBSラジオ「サステバ」パーソナリティ、グラミンジャパンアドバイザーなどを務める。テーマは「世の中のブラックボックスを“顔の見える化”すること」。凸版印刷在籍中には、有料デジタルコンテンツ流通の先駆けとなる「ビットウェイ」を起案・事業化するなど、多くの新規事業を手がけた。2011年にみんな電力株式会社を創業。2016年からは、世界で初めてブロックチェーンを用いた電力トレーサビリティ技術を実用化し、再生可能エネルギーによる電力小売事業「みんな電力」を推進。日本の脱炭素化に大きく貢献している。現在は、再エネ事業で培った「サステナクラウド」を基盤に、「みんなワークス」「みんな大地」「TADORi」「Shift C」「みんな商店」などを展開。ソーシャルアップデートカンパニーとして、世界をアップデートする挑戦を続けている。これまでに、第4回ジャパンSDGsアワード内閣総理大臣賞、日経脱炭素アワード大賞を受賞。さらに、日本で3社のみのCDP認定再エネプロバイダー・エナジープロバイダーとして、B Corpで高い評価を受けるなど、受賞・認証実績も多数。その取り組みは、国連の年次報告書において、日本発のモデルケースとして紹介されている。

 

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